大阪市住吉区の月山クリニックでは、地域の整形外科として皆様の症状・お悩みに誠実に向き合い、本当の意味での“満足していただける医療”のご提供に努めております。
つらい症状でお困りの方の不安解消の一助になればという思いで、こちらのブログを通じてさまざまな病気のことや治療のことを発信して参ります。
今回は“腕神経叢損傷”についてお話しいたします。
腕神経叢について
私たちの体は驚くほど複雑で、脳と筋肉とを繋ぐ神経が多大な役割を果たしています。まずは、私たちの手や上肢の動きをコントロールする「腕神経叢」について説明します。
腕神経叢とは、脳からの命令を手に伝える神経のネットワークです。頸部から胸部にかけての脊髄から5本の神経根が出ており、それぞれが手の特定の動きを支配しています。
例えば、第5頚髄神経は肩の動きを、第6頚髄神経は肘の曲げ伸ばしを、第7頚髄神経は手首の動きと指の伸ばしを、第8頚髄神経と第1胸髄神経は指の曲げ伸ばしを担っています。
しかし、これらの神経根は単独で機能するだけでなく、互いに補助的な役割も果たしています。
腕神経叢が損傷すると?
この複雑に交錯した腕神経叢が損傷するとどうなるでしょうか?
腕神経叢損傷は、交通事故や分娩時の過度な力がかかること、または腫瘍や放射線障害などが原因で起こります。この損傷の程度は、神経が脊髄から完全に引き抜かれる最も深刻な状態から、神経の一部が損傷しただけの軽度な状態まで様々です。
腕神経叢の損傷は複雑であり、治療はそれぞれの状況に応じて適応されます。一部の症例では、神経がショック状態に陥り麻痺を引き起こすこともありますが、この状態は3週間から3ヶ月で自然に回復することが多いです。
腕神経叢麻痺の診断と治療
腕神経叢麻痺の診断と治療の決定には、神経が脊髄で引き抜かれているかどうか、神経の損傷程度、麻痺のタイプなどが重要な要素となります。これらの判断は、臨床症状だけでなく、脊髄造影、CTミエログラフィ、MRI、電気生理学的検査などの補助診断が必要となります。
具体的には、神経が脊髄から引き抜かれてしまっている場合、自然回復する可能性はほぼありません。そのため、早期に手術が必要となります。